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デジタルとアナログの融合

  • 執筆者の写真: NUM
    NUM
  • 1月3日
  • 読了時間: 7分
目次


はじめに

明けましておめでとうございます。NUMです。 今回は最近始めたジェネラティブアートの手描きについて書いていこうと思います。 技術的な内容ではなくエッセイのようなものなので気軽に読んでいって下さい!




なぜ手描きなのか

僕はジェネラティブアートのコンセプトとして「デジタルとアナログの融合」を掲げています。 なぜこのコンセプトに辿り着いたかというと、自分の好きな部分がアナログな質感や手描きっぽさでありつつ、この世の美しさをアルゴリズムとして解釈し、プログラム化つまり仕組みとして言語化するというプロセス自体が美しいと思ったからです。 ただ、どれだけプログラムで制作していても物足りなさがありました。 ジェネラティブアートの制作手法は以下の手順で行います。 アイデア出し → アルゴリズムの設計 or 既存アルゴリズムの学習 → プログラム化 → 出力

制作手法はかなり論理的な領域を使いがちで、作品が出来上がると脳みそを使い切った達成感はあるのですが、物理的には作品があるわけではなく、あくまでも画像、動画のデータとして存在するだけでした。ジェネラティブアートをやっているから、そりゃそうだろと思うのですが、僕はこだわりが強いので、これでは「デジタルとアナログの融合」というコンセプトとして作品自体が片手落ちな気がしていました。

そこで、デジタルな部分はある程度定まってきたので、これからはアナログな部分を強めていきたいと思い、「プログラムで出力した画像を自分の手で再構築する」という試みを始めました。 普通の人がこの制作プロセスを見たら、とても無駄なことをしているとしていると感じるかもしれませんが、それぞれのプロセスで求められる技術が異なるので、それらをふんだんに活用して制作することで、より自分が作品を作っているという実感が得られるようになったと思います。


制作手法

デジタルな部分の制作手法はみなさんご存知かと思うので割愛します。 アナログな部分の制作手法はとてもシンプルで、出力した画像をキャンバスに模写して 着色をしていく流れとなります。


下書き
下書き

一番大変なのがキャンバスに下書きをするところです。画像とキャンバスでは縮尺が違うので正確に下書きしないと全体のバランスが悪くなってしまいます。そこでキャンバスにグリッド線を書くことで大きなズレが発生するのを防いでいます。下書きの作業が一番大変です、、


黒の着色
黒の着色

着色作業です。まず簡単な黒色の部分を全て塗っていきます。 チューリングパターンは曲線や丸みがある形が多いので、精密な筆使いが求められます。 僕は手描きについては初心者なので綺麗な曲線を描くのに苦戦しています笑 また、一度塗っただけでは塗りムラが結構あるので、何度も重ね塗りをしています。 これをすると作品の見栄えがかなり変わってきます。


盛り上げ材を使用した着色
盛り上げ材を使用した着色

絵の具にモデリングペーストを混ぜて黄色の部分に立体感を出します。 モデリングペーストは粘り気が強いので、筆で描くと扱いにくく黒の部分にはみ出してしまったりします。 かなり細かい神経を使う作業になります、、

モデリングペーストは白色なので黄色のアクリル絵具と混ぜると薄い黄色になってしまいます。 そのため、上からさらに元の黄色の絵具で塗り重ねることで、本来出したかった色に近づけていきます。


完成系
完成系

最後の仕上げに黄色と黒の境界にめちゃくちゃ小さい塗り残しが沢山あるので、それらを極細の筆で塗っていきます。そうしてできた完成系がこちらになります。

僕が手描きの題材にチューリングパターンを選んだ理由は、チューリングパターンが生物の模様を形成する仕組みの一つで、あらゆる生物の模様の根源を描くという事が、ジェネラティブアートというアルゴリズム(仕組み)から芸術を生み出すというプロセスに近いと思うからです。 形はシンプルだけれども、その裏にある背景、原理、歴史の深さを知ると、自分の頭で理解した上で自分の手で書いてみたいと思うようになりました。

黄色の部分をモデリングペーストで盛り上げているのは、今まで画面上で見ていた平面のデジタル作品を現実世界に落とし込み、作品が自分の居る空間に存在するという感覚を強めるためです。 やはり画面上で見るものとは違った感覚があります。




描いてみて気づいたこと

今までプログラムで描いていたところを実際に自分の手で描いてみると、自分の体は思い通りに動かないということを思い知らされました。ただ、その部分を作家の手グセ(個性)として再解釈することもできます。これは自分が制作を始めた時に好きな部分だった人間らしい手描きの表現の探究にも繋がってくるのかなと思います。自分の癖をプログラム化することは、手ブレを数値化し、配列に落とし込んでrandom関数のように使用すればできなくもないですが、それよりは自分自身が描いた方が僕的にはしっくりきます。

また物理的な作品を作ってみると、今までにはなかった「所有」という感覚が出てきました。 人間という生物としての性質なのか分からないですが、データとして所有していた時は存在はするけど、記憶に残りにくい感じがありました。これは恐らく、物理的な作品の方が何気ない時に視界に入ったりする頻度が多かったり、自分の手を使って時間をかけて制作した背景が関係してくるのかと思います。何れにせよジェネラティブアートにおける物足りなさは解消した気がします。



今後のジェネラティブアートについて考えていること

ジェネラティブアート界隈はXのほうが活発に活動されている方が多いので、動向をチェックしていますが、AIの進歩が目覚ましいことで、その作家の個性みたいなものが見えにくくなっている気がしました。これはAIが作家の技術力を底上げしたことで作れるものが増えたけど、それが作家の個性に繋がっていないのかなと思います。ただし、これはジェネラティブアートを作家という観点で考えた場合の話で、芸術ではなく技術として色んなものを作っている方は該当しないです。 ジェネラティブアートはプログラムで制作するのでAIが一番得意とする芸術領域というところでAIが関与する部分が多くなってくると思います。恐らくAIによるジェネラティブアート作品が普及すればするほど、非AI製という観点、つまりアナログな手法や人間がどれだけ介在しているのか重要になってくるのではないかと思います。これは高度なプログラムや数値計算による複雑な出力結果は重要ではなく、その作家が手間暇かけて作り出したというプログラムとは対極にある観点が求められるということです。



今後の制作活動について

物理的な作品制作をやってみて、物理的な部分の楽しさが感じられてより「デジタルとアナログの融合」というコンセプトの追求を続けていきたいと思いました。 4年間アルゴリズムや数学の学習、プログラムによる作品制作をやってきましたが、物事の原理を分析しプログラムとして作り上げる点においてとても成長できたので大切な期間だと思いました。 これからは今までの培った技術を使って物理的な作品制作に活かしていければと思うので、制作は物理作品の比率を上げていこうと思います。

最近制作した作品たちです。ありがたいことにご購入のお声がけもいただいているので購入される方はお早めにご連絡いただければと思います! 他の物理作品たちはPhysicalに載せているので是非みていただければと思います!




最後まで読んでいただきありがとうございました!

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